【医師が解説】子宮頸部異形成の日帰り治療「レーザー蒸散術」とは?術後の注意点やワクチンについても解説

こんにちは、桜新町レディースクリニックの市原三義です。
子宮がん検査(子宮頸がん検診)で「子宮頸部異形成(しきゅうけいぶいけいせい)」と診断され、不安な気持ちで調べている方も多いのではないでしょうか。
「異形成」はがんではなく、「がんになる手前の正常ではない細胞」のことです。当院では、この異形成の段階で適切に治療を行い、将来のがん化を予防する「子宮頸部レーザー蒸散術(じょうさんじゅつ)」を日帰りで行っています。
今回は、この治療法の特徴やメリット、術後の経過について分かりやすく解説します。
1.子宮頸部レーザー蒸散術とは?
子宮の入り口(頸部)にある異常な細胞(異形成)に、炭酸ガス(CO₂)レーザーを照射して、熱で焼き飛ばす(蒸散させる)治療法です。
日本産科婦人科学会のガイドラインに沿って診療します。手術は主に以下の患者様を対象に実施します。
- 高度異形成(CIN3): がんの一歩手前の状態。異形成がレーザーで狙える範囲に病変が収まっている場合
- 中等度異形成(CIN2): 自然に治らず、長期間持続している場合
2.レーザー蒸散術のメリット
子宮頸部の治療には、病変をナイフや電気メスで切り取る「円錐(えんすい)切除術」という方法もあります。しかし、切り取ることで子宮の入り口が短くなったり硬くなったりするため、将来妊娠したときに「早産」や「流産」のリスクが少し上がることが知られています。
一方で、レーザー蒸散術は子宮の形をほぼそのまま温存できるため、将来の妊娠・出産への影響(早産・流産のリスク)が極めて低いという大きなメリットがあります。これから妊娠を考えている若い世代の方にも、安心してお受けいただける治療です。
3.手術の流れと痛みについて(日帰り治療)
手術は外来で日帰りにて行います。手術自体は10〜15分程度で終了します。
痛みを心配する方は多いです。当院は患者様の負担を減らすため、2段階で痛みを管理します。
- 最初に消炎鎮痛剤の座薬(ジクロフェナク)を使用
- その後、子宮の入り口に局所麻酔(1%リドカイン)を施す
麻酔の際には少しチクッとする感覚がありますが、手術中の痛みはほとんどありません。 - コルポスコープで病変を確認しながらレーザー蒸散を行います。
- 治療終了後はタンポンもしくはガーゼを挿入します。
4.知っておいてほしいデメリット
レーザー治療は細胞を「焼き飛ばす」ため、切り取った組織を後から顕微鏡で調べる(病理組織検査)ことができません。そのため、手術前に精密検査(コルポスコピー検査や組織診)を行い、「がん(浸潤がん)」が隠れていないことを確認した上で治療を行います。
レーザー蒸散できない範囲に異形成がある場合や、将来の妊娠を考えていない方、子宮頸部の浸潤がんを疑う場合は子宮頸部円錐切除術を勧めています。
5.術後の注意事項と通院スケジュール
術後数日から数週間は、かさぶたが剥がれる影響で、水のようなおりものや少量の出血が続きます。
傷口が完全に新しく再生するまでの4週間は、感染や出血を防ぐため「性交渉」は控えていただく必要があります。
また、レーザー治療は非常に効果の高い治療ですが、約10〜30%の割合で「残存」や「再発」のリスクがあります。そのため、術後の定期検査受けていを必ず受けていただく必要があります。
【当院の術後通院スケジュール】
- 術後 翌日から2週間: 傷口の治り具合や、出血がないかのチェック
- 術後3か月後: 子宮頸部細胞診(細胞の検査)
- 術後6か月後: 子宮頸部細胞診 + HPVハイリスク検査
※6か月目の「HPVハイリスク検査」で、原因となるウイルスが消えているかを確認します。この結果により以後の定期検診の間隔を決定します。
6.再発予防のために:HPVワクチンのすすめ(自費診療)
レーザー蒸散術は今ある異常な細胞を治す治療ですが、「将来、再びウイルス(HPV)の感染により再発すること」までは防げません。
そのため当院では、手術を行った後の再発・再感染を予防するために、HPVワクチンの接種をおすすめしています。すでに異形成を経験された方であっても、ワクチンを接種することでその後の再発率を下げられることが分かってきています。
※HPVワクチン接種は保険適応外(自費診療)です。
最後に
子宮頸部異形成と診断されると、とても不安になりますよね。しかし、この段階で適切に治療・管理を行えば、子宮頸がんになることを高い確率で防ぐことができます。
当院では、患者様のお体と将来のライフプランに合わせた最適な治療をご提案しています。気になることや不安なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
