トキソプラズマと妊娠
トキソプラズマは寄生虫のひとつで、妊娠中の初感染は胎児に、小頭症、脳内石灰化、脈絡網膜炎などおこす可能性があります。
トキソプラズマは、プレコンセプション(妊娠前)や妊娠初期に検査が行われています。現在は妊娠初期検査では、この検査はオプションあつかいされていることが多いです。しかし妊娠中の感染に適応のある薬があり、今後はこの検査は広がっていくと思います。
妊娠前の方なら、自分がトキソプラズマの抗体を持っているのか知っておくと、妊娠中にトキソプラズマに感染すると危険なのか知ることができます。つまり、抗体があればこれからの妊娠では初感染とはならず、抗体がなければ妊娠中の感染予防が重要となります。
妊娠中の方であれば、特にトキソプラズマ感染予防を知っておくことが大事です。さらには妊娠中にトキソプラズマ抗体をしらべて妊娠中の初感染であれば、2018年より保険適応薬になったスピラマイシンの内服治療をすることができます。
しかし、まずはトキソプラズマの感染予防を知ること、そしてご自身の感染リスクを知ることが大事と考えます。
トキソプラズマ感染予防に関しては、下記の”トキソプラズマ妊娠管理マニュアル”からの内容を注意してください。またトキソプラズマの抗体検査は採血でできますので、当院桜新町レディースクリニックや、お近くの産婦人科でご相談ください。
トキソプラズマ感染予防のための妊婦教育・啓発の内容
(トキソプラズマ妊娠管理マニュアルより引用)
① 食事からの感染予防
・肉類は十分に加熱し食べる (調理前に数日間冷凍するとより効果が高い)
牛トロ、レバ刺し、馬刺し、鳥刺し、ユッケ、タルタルステーキなど生肉
だけではなく、加熱不十分な肉、生ハムや生サラミからも感染する。特に
野生動物の肉を用いた「ジビエ」料理は、しっかりと加熱し調理する。
・野菜や果物はよく洗うかきちんと皮をむいて食べる。
・生肉や洗っていない野菜や果物を扱った調理・食事用具、手指は
十分な洗剤と温水で洗浄する。
・猫をキッチン、食卓に近づけない。
② 環境からの感染予防
・飲料水以外は飲まない。
・ガーデニングなどで土を触る際は手袋を着用し、土を触った後は
手指を石鹸と温水で洗浄する。
・子供にも手指洗浄の重要性を教育する。
・砂場にはカバーを掛ける。
・妊娠中に新しい猫を飼わない。
・飼い猫はできるだけ部屋飼いにし、食餌はキャットフードを与える。
・猫のトイレの砂は妊婦以外のものが毎日交換する。